バッチのような小物から、服、靴、帽子、ネクタイ、カバン……全身オリンピック特許商品でそろえるのも十分可能なほど、ショップにあふれる北京五輪の特許商品。こうした日常消耗品のほか、永遠にしまっておける高価なコレクションアイテムが続々販売されているのが中国ならではの特徴。チェックしてみると、コレクション好きな国民性が見えてくる……。
朝、現地の新聞を開けば、オリンピックコレクションアイテムの全面ぶち抜き広告が目に入る。「8、888個の限定販売。歴代オリンピックシンボルマークとマスコット全集。金製、銀製、銅製の各バージョンあり。今すぐ電話かネットでお申し込みを!」といった内容。値段を見ると、例えば、歴代オリンピックのシンボルマークを小さな純金の四角い型の上にプレスして並べたセットは、金製22万8千800元(=日本円約340万円)、銀製2万2千円(約33万円)、銅製1万1千円(約16万5千円)。いま北京の国営企業の勤労者の平均年収が約50万~60万円くらいなので、日本人の感覚でいうと、自分の年収の5,6倍、数千万円の五輪コレクショングッズが新聞広告に出ている感じだろうか。この金銭感覚に目が回りそうだが、コレクショングッズ、このほかにも高価なものが数多く販売されている。
こうしたコレクショングッズ、購入者はもちろん中国の新興リッチ層が中心。彼らは北京オリンピックへの愛に燃えて、というよりも、将来の値上がりを狙った一種の株券として投資するという。それにしても、オリンピックシンボルマーク集、などという特殊なジャンルの工芸品が将来激しく値上がりなどするのだろうか……と私なら疑問に思ってしまうが、このあたりが普通の人間と中国リッチ層の感覚の違い。いったい、誰が買うのか?と思う、高価で変わったデザインの品々、オリンピック特許商品売り場でぜひチェックしてみて欲しい。オリンピックの会場にも特許商品売り場はあるが、そちらはピンバッチやボールペンなど低価格の日用品が中心。リッチ層を狙う特許商品は、北京の高級デパート「新光天地」(朝陽区大望路)東方広場(東城区王府井)など、彼らが高級車で乗りつける場所に揃っている。
セレブ系特許用品売り場でまず感動するのは、さすがに世界の工場ならではのアイデア百花繚乱ぶり。金属はもちろん陶磁器、玉、木材、竹、シルクなどあらゆる素材が揃ううえ、刺繍したり、彫刻したり、編んだりという手作業も中国なら低コストでできる。その結果、コレクションアイテムは様々な素材と技法がかけあわされ、アイデア爆走状態。私がいちばん欲しくないかも…と思ったのは、オリンピックのマスコットを焼きこんだ高さ50センチもある赤い壷。それでもウン十万円の値段がつき、堂々と売り場に並んでいる……。
プレート部分は建設の余りの鋼鉄 特許商品は、オリンピックのシンボルマーク、マスコットなどが素材になるが、コレクションアイテムとしては、「鳥の巣」のニックネームで呼ばれるオリンピックのナショナルスタジアムや、「水立方」のニックネームで知られるメーンプール、聖火トーチなどもコレクションアイテムのデザインの素材になる。
「鳥の巣」も今年の初めには、3000個限定、1つ約70万円の純金製の模型が発売され、即完売して話題になったばかり。また「鳥の巣」は使用する鋼鉄の量が多すぎるのではと激しい論議を呼び、節約のためのデザイン変更も起きたことでも有名だが、コレクションアイテムのなかには、「鳥の巣」に使った鋼鉄の余りを製品名のプレート版などに使い、それをウリとしているものも多い。まさに中国の国情を映し出すオリンピックコレクションアイテム群なのである。