北京の2大名物料理といえば、北京ダックと羊のシャブシャブ。北京を訪れたら絶対、食べたい二つの料理、味わうなら新派か、旧派かが賞味のポイント。食べる前に豆知識をぜひ知っておこう。
まず北京ダックだが、伝統スタイルだと、ややオイリーに、新スタイルだと、オイリーな感じが少ないさっぱり派に分かれる。伝統スタイルの代表は、「全聚徳」。1864年、100年以上も続く老舗で、北京を代表する店として、各国の政治家が訪れ、その写真が前門の本店にはたくさん貼ってある。店のシェフにきいた話では、北京ダックは生後50日前後、ローストの時間は約1時間。新派の店では、生後40日前後のダックを使うので比較的小ぶりだが、ここのダックはみるからにドン、と大きい。しかも、アヒルは最後の10日くらいにエサをひたすらつめこんで丸々太り、皮の下には脂肪がたっぷり。テーブルに出てきた北京ダックの皮を一口齧ると、ジュッ~とオイルが染み出てくる。これを、美味しいと思うか、脂っぽいと思うかが、好みの分かれるところ。北方の街、北京では、街の人たちにとっては脂っぽいものは、寒さを乗り切るために欠かせないご馳走。そのためか、古くからの北京っ子は、北京ダックといえば、「全聚徳」という人が多い。
「オイリーでなければ北京ダックでない!」という一派に対して、新派では、もっとライトなさっぱり系の北京ダックをセールスポイントに掲げる店も。その代表は「大董烤鴨店」、ここも毎晩、大行列ができ、北京の社交場ともいえる名物レストランとなっている。ここのダックは生後40日前後と小ぶりで、大きな特徴なのは、ローストの時間が90分と長いこと。この間に、北京ダックの脂をゆっくり落とし、テーブルに出てくるダックは皮を齧るとサクサクっと軽い、パイのような味わい。伝統式ダックでは、皮の下に白い脂肪が3~4ミリほど見えるが、こちらのダックでは脂肪がほぼ見えないほど。さっぱりした味わいは、同じ北京ダックとは思えないほど伝統式とは違い、できれば両方比べてみたいもの。北京っ子には、自分が食べる時は「全聚徳」、外国人などを接待する時は「大董」という人も多く、伝統式と新式を使い分けている。
羊のシャブシャブのほうの代表的老舗は「東来順」、1903年の創業。伝統スタイルの特色は、「火鍋子」(フ・グォ・ズ)と呼ばれる真ん中に煙突のたった銅鍋を使うこと。鍋の側面に孔があいていて、そこに炭を入れてスープをあたためる。具は羊肉のスライスと、白菜、春雨など、シンプルに。メニューには、ほかにも牛、豚などの肉や野菜の種類もあるが、古くからの北京人のなかには、「羊のシャブシャブには、いろいろな具を入れるものではない」とシンプルにこだわる人が多い。味付けはゴマだれが伝統スタイル。この店では、羊のシャブシャブの伝統のスタイルが見られる。
対して、北京の若者を中心に人気の新派スタイルの代表は「鼎鼎香」。新派のスタイルでは、鍋は普通のステンレスの鍋、テーブルの上では固形燃料やガスを使って温めるスタイル。スープもいろいろな種類から選べ、具も羊だけでなく、牛豚肉や、海鮮類などを入れる。なかでも「鼎鼎香」では、ステーキ肉、フォアグラ、ナマコなど、シャブシャブの具にするのがもったいないほどのさまざまな具がメニューにあるのが新派らしい特色。店内のインテリアもおしゃれで、食後にはケーキなどスイーツ類やコーヒーもあるなど、鍋の店にしては革新的なスタイル。けれど、その新しさがうけて、北京では芸能人など新世代のセレブリティもよく集まる店。オリンピックに向けて好景気の北京では外食のスタイルも幅がどんどん広がっている。二大名物料理でも、新旧のスタイルによってまったく違う味わい、できれば4回トライしてみたい?!